反りや彫られた文字の鑑賞

最近では日本刀のコレクターも増えて、一部では日本刀の鑑賞がブームになっているそうです。しかし、実際に日本刀を目の前にしたとき、どのようなポイントを確認していけば良いのでしょうか。鑑賞する日本刀の持っている歴史などの知識があれば楽しめますが、日本刀そのものをどう見ていけばいいのかを紹介します。目利きするポイントのひとつとしては、刀の反りの部分と言われています。日本刀は緩いカーブがかかっており、この反り格好の美しさは歴史を表します。例えば、反りはどの辺りから始まっているのか、鋒まで反りがあるのか、重ね(刀を棟の方から見た厚み)はどれくらいなのか、腰元には何か文字が入っているのか、などを確認しましょう。例えば、太刀の銘備州長松師景(嘉吉元年十月日)について鑑賞する場合です。この刀は反りが焼の始まる辺りからはじまっており、備前の持つ特有の腰反りであることが分かります。反りの曲線は、鋒まで美しい曲線を持っており、典雅な太刀姿を楽しめます。重ねは他の刀と比べると、比較的分厚い作りになっています。この厚みから、室町時代に作られた日本刀ではないかと推測することができます。腰元の部分には、「八幡大菩薩」という文字、それから素剣の彫が浮かびあがっており、神々しい印象を与えます。素剣は、不動明王の持っている三鈷剣を簡略化したものと言われています。 刀身の彫刻は、素剣に始まり素剣に終わるとも言われるほど、シンプルながら奥が深いと言われている掘り方です。この日本刀を注文した主が、刀に武運長久の祈りを感じられます。このように、刀の形や彫られている文字から、それぞれ込められている想いを想像できるところも、日本刀鑑賞の興味深いところです。

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