これからは若者が頑張るべきと思います。今はどこかの大社長が刀を買って下さるのもありがたいですけれども、いま二十万の刀を二十回月賦で買って下さる方はのがしてはいけない大切なお客様だと思っているわけです。とにかく若い層にいろいろやっていきたい。若い人をつかまないとこれからはやっていけないことですね。一般の大衆愛刀家がお客となると高い刀では売れません。大体百万までですね。今の著名な刀剣商の方は百万までの刀はあまり相手にしていないからたいへんありがたい。何かというと二百万で買って二百五十、三百万で売ると、そんなことばかり考えている。将来の夢は一年間に一万本位売ることです。それで一万円ずつ儲けたら一億の儲けですから。計算したら一カ月に八百本は売らなければならない。一か月に八百本は不可能な数字ではないと思います。八軒店があれば一軒百本ですから売れないことはないと思います。もっとも、只今四軒の店舗しかありませんからまず夢物語りというとこでしょうか。

刀の将来ですけれども、昭和46年の時点ですが、正しいものを現在各地にある正しい商店で、正しい値段でお買いになっておけば刀で損をするというようなことはまずあるわけがないということを私は信じております。これは一個人の商店の消長の問題ではなく、日本刀の将来はどう進むか。夢見る大量販売、いいかえれば庶民の中に入っていくことができるだろうか。興味深い一つのケースでしょう。