業者間の刀の交換会というものは絶対に必要なものなんです。戦前には永久会などという交換会としては最高のものがありまして、いくら真面目で、小金ができても入るのは難しいです。

当時の交換会は全部現金買いだった。だからどんな人でも千円や二千円懐に巻いて売買しておりました。ところが永久会の会員になりますとすごい信用があります。

たとえばAさんという人がBさんから刀を百本買ったとすると、その百本を客に売らないで刀屋さんの会で売ろうという場合には永久会で売るんです。永久会では九州ではだれ、四国ではだれ、中国、広島だれ、大阪でだれだれというふうに会員がいるんですが、皆もう間違いない方で、その当日になると会場に三十人くらいならびまして、そこで初めて一カ月ののべ払いで買います。そして買ったものをみんなが売って一カ月目にお金を集めて決済する。これは本当に特別な会の例で、平常は、原則はあくまで現金が建前でした。ですから戦前は、刀屋で倒産とか、刀屋でのべ払いで刀を買って払わないということはまずありませんでした。私も戦後刀剣の交換会をつくり、会長になり相当な化もやっておりました。 十何年やって、結局ある方の倒産によって、当時の金で数千万円の損害を受けまして、やめたんですが、なぜそういう損害を受けたかというと、売現金、買い延という組織を終戦後に、金のない金のない刀屋たちの集団が自然につくったんです。だけどみんな戦前の生き残りですから人のもので会で買ってふみ倒すなんていう人は一人もいなかった。ところが三十二、三年ごろ、刀が復興を始めてからいつの間にか戦後派派の刀屋が出てきたわけです。こういう人達の中に無責任な人がいた訳ですね。しかしそういう人は四十年の不況でバタバタと倒れました。今回もごく最近では某地の方が倒れましたが、失礼な言い方ですけれども、みんな新参の方です。大体真面目にやっていれば倒産するわけがない商売ですから。やはりそういう陰には、金融の金利とかばくちとかの道楽があるんですね。

いまの刀剣売買の組織では第二、第三の犠牲者が出ます。現にいま某地のほうでどんどん刀を買いいれて質屋に入れている一派があるという噂が出ております。もうすぐまた倒産の人が出てきますね。ほんとうの刀屋ではなく刀屋のかっこうをしたという方でしょうか。刀剣会にいかなくなってから店は何軒も出す、デパートへは出る。どこからみても発展だ。私は頭が下がった。と言ってくれた。現金で買って現金で売ります。ですから私の店に相当有名な某地の商人が来て、これを三カ月の延べで売ってくれと言われましたが申し訳ありませんでしたが私は売りませんでした。